ラグビー解説

name

1981年、大阪府生まれ。5歳のときにラグビーを始め、文武両道で北野高校から慶應大学理工学部へ。’99年度、U19日本代表、高校日本代表に選出。’04年、東芝入社。2年目からレギュラーとして活躍。’07年、主将に就任(~’11年度)。’08-’09、’ 09-’10シーズンではトップリーグ プレーオフトーナメント優勝を果たす。’07年、日本代表入り。’12年には日本代表キャプテンに。’15年W杯では、日本代表史上初の同一大会3勝に貢献。現在は「ラグビーワールドカップ2019」公式アンバサダーとしてPR活動を行うほか、俳優としてドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)に出演するなど幅広く活躍。著書に『なんのために勝つのか。』(東洋館出版社)。

①ラグビーってどんなスポーツ?

両チーム合わせて30人の選手が楕円形のボールを前に運んでいくスポーツです。敵の陣地の奥にある「インゴール」というエリアにボールを置くと「トライ」となり、ボールを運んだチームに5点が入ります。「ボールを運ぶだけなら誰でもできる」と思うかもしれませんが、敵の守備をかいくぐりながら前に進むのは大変。1人の力だけでどうにかなるものではありません。敵につかまったときにボールを仲間にたくす。仲間がつかまれば助けに行く──。チーム全体がひとつになってボールを前に運んでいくのです。

②得点はどうすれば入るの?

「トライ」をすると5点が入りますが、その後の「コンバージョンキック」が成功すると2点が加点されます。ちなみに「トライ」(試みる)とは、このキックを「トライ」する権利を得られるということです。2本のゴールポストの間を狙う「コンバージョンキック」は、トライをした場所からまっすぐ後に下がった延長線上から。真ん中にトライしたほうがキックは簡単です。ほかの得点には、反則をされると狙える「ペナルティーゴール」と地面にボールをバウンドさせてからキックをして狙う「ドロップゴール」があります。どちらも成功すると3点が加えられます。

③ポジションには何があるの?

ラグビーには10個のポジションがあり、それぞれ役割も異なります。その役割は大きくわけて2つ。大きな体を生かし、相手にぶつかって前進する8人のフォワード(FW)、後方から快足を飛ばしてゴールを目指す7人のバックス(BK)です。ラグビーは多様性に富んだ競技。いろいろな体格の人がチームのために身をていしてボールをつなぐスポーツです。足が遅くても、体が小さくても誰でも活躍ができるポジションがあるのです。

④ルールが難しそう

ラグビーには「軽い反則」と「重い反則」があります。なかでも覚えてほしいのは、ボールを前にパスをする「スローフォワード」とボールを前に落とす「ノックオン」です。この2つはミスに近い「軽い反則」で、試合中に何度も起こります。「軽い反則」をした場合には、相手ボールの「スクラム」で試合が再開されます。 「重い反則」を覚える前に、わかってほしいことがあります。ラグビーは、防具を着けずに体と体をぶつけ合うため、相手にケガをさせてしまうことも。そこで大事にしているのが「品位」です。ラグビーの基本原則をまとめた「ラグビー憲章」では最初に書かれています。「品位」とは誠実さとフェアプレー。「卑怯なことをしてはいけない」「待ち伏せしてはいけない」──そんな〝約束事〟を破った場合に「重い反則」が与えられ、相手ボールのペナルティキックで試合が再開。「ペナルティゴール」を狙うこともできます。

⑤どんな楽しみ方があるの?

快足を飛ばしたり、華麗にパスをつないだりした「トライ」はラグビーの花です。また、走ってくる敵に対して勇気を持って止める「タックル」も注目。ひとつのタックルが試合の流れを変え、チームを勢いづかせることもあるのです。また、フォワード同士の意地がぶつかり合う「スクラム」も見どころのひとつ。両チーム8人ずつが押し合い、ボールを奪い合います。とくにゴール前で行う「スクラム」は手に汗握るほど。大事な場面で狙うペナルティキックなどのゴールキックは、会場全体が静まり返るほど緊張感にあふれます。そして、これら「ラグビーの花」には、必ず、チームの仲間たちの「One for All, All for One」(1人はみんなのために、みんなは1人のために)──の献身的なプレーがあることを忘れないでください。

⑥レフリーはどんな仕事?

「前に出ないで!」「まだ押さない!」などラグビーの試合中、レフリーはよく声をかけます。選手ともよく会話をしています。それはラグビーのレフリーの役割は、反則かどうかの判断もしますが、反則による試合中断を減らすことを大切にしているからです。つまり、反則を減らし、試合を面白くさせる「演出家」でもあるのです。ほかのスポーツでは、反則があればレフリーが笛を吹いてプレーを止めます。しかし、ラグビーのレフリーは、反則されたチームが有利な状況ならば、笛を吹かずに、プレーを継続させるのです。レフリーは31人目のプレーヤーともいえるのです。