2025.10.01
11月15日(土)に朝霞市産業文化センターにて朝倉かすみ先生の講演会を開催!10月1日より申し込み受付スタートです。会場で本をご購入の方にサイン会も実施します。
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『平場の月』公式アカウントはこちら
https://x.com/kobunsha_hiraba
もう若くはない男と女の、静かに滾るリアルな恋。
朝霞、新座、志木―。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。
元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる―。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。

1960 年北海道小樽市生まれ。2003 年「コマドリさんのこと」で第 37 回北海道新聞文学賞を、2004 年「肝、焼ける」で第 72 回小説現代新人賞を受賞し、作家デビュー。2009 年『田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を受賞。2019 年『平場の月』で第 32回山本周五郎賞受賞、第 161 回直木賞候補に。2024 年『よむよむかたる』が第 172回直木賞候補に。ほかに『ぼくは朝日』『にぎやかな落日』『棺桶も花もいらない』など。

吉田伸子氏 (「朝日新聞」1月13日付)
「平場」にいる、もう若くない私たちを、静かに肯定してくれる一冊。岡崎武志氏 (『週刊文春』2月28日号)
朝倉の精密で気持ちが入った筆は、読者を一種、共犯関係にさせる。中江有里氏 (『週刊新潮』1月3・10日新年特大号)
過去を辿っていくにつれ、最初から明かされている結末が辛い。若くなくなってからの方が恋愛は滋味深く、 忘れがたい。瀧井朝世氏 (『きらら』2月号)
一気に涙腺崩壊というよりも、じわじわと目頭を刺激してくる。うさぎや矢板店 山田恵理子
未来屋書店 福津店 出田由美子
TSUTAYA ウイングタウン岡崎店 中嶋あかね
東大生協 佐藤直子
SuperKaBoS 鯖江店 峯森和代
紀伊國屋書店 広島店 池田匡隆
水嶋書房 金剛店 浦辺千栄子
紀伊国屋書店 さいたま新都心店 横山三智子
ブックエース 上荒川店 加藤里美
明林堂書店 南宮崎店 河野邦広
紀伊國屋書店 セブンパークアリオ柏店 田島奈穂子
柳正堂書店 甲府昭和イトーヨーカドー店 山本机久美
明文堂書店 富山新庄経堂店 野口陽子
BOOK BOX 文華堂 室井友佑
リーディングスタイルあべの 森口俊則
青山学院購買会 AGU bookcafe 鈴木沙耶
(59歳 学習塾講師)
(50歳 パート主婦)
(47歳 主婦)
深夜のバー。小学校のクラス会三次会。男女五人が、大雪で列車が遅れてクラス会に間に合わなかった同級生「田村」を待つ。各人の脳裏に浮かぶのは、過去に触れ合った印象深き人物たちのこと。それにつけても田村はまだか。来いよ、田村。そしてラストには怒涛の感動が待ち受ける。'09年、第30回吉川英治文学新人賞受賞作。傑作短編「おまえ、井上鏡子だろう」を特別収録。
小さなまちで、男の目を引くからだを持て余しつつ大人になった地味な性格のアカリ。静かな生活を送りたくて大きな街に引っ越し、美容関係の仕事を見つけた。しかし、親友、奇妙な客、奇妙な彼氏との交流が彼女の心の殻を壊していく――。読む者の心をからめとる、あやうくて繊細でどこか気になる一人の女性の物語。
北海道で独り暮らしのおもちさんは八十三歳。東京に住む娘は一日二度、電話をしてくれる。近くに住むお嫁さんのトモちゃんは、車で買い物に連れて行ってくれる。それでも、生活はちょっとずつ不便になっていく。この度おもちさん、持病が悪化し入院する ことになった――。日々の幸せと不安、人生最晩年の生活の、寂しさと諦めが静かに胸に迫る物語。
人に迎合し、喜ばせることが生きがいの眉子。彼女の結婚式で配膳係のバイトをしていたコミュ障で自意識過剰な大学生茶谷は、美しい花嫁姿の眉子に一目惚れをする。そして眉子の夫に取り入り、彼女に近付いていく。眉子は必ず僕を好きになる――。眉子。茶谷。眉子の夫。絡み合う三人の関係は?眉子がかつて体験した、強烈な過去とは?真実と心の闇は、着々と明かされていく。とにかく、きみは、一度でいいから、ぼくとデイトしてみればいいんだ。
椰月美智子氏
諦観の湖面をそろりとゆくようなこの恋が、もしかしたら最上なのかもしれない。これぞ作家がゾーンに入った小説!解き放たれた朝倉かすみを体感せよ!!
丸山正樹氏 (「2月14日 Twitterより」)
今、読み終わりました。すみません、感想は言えません。読んだ、しっかりと読んだ、それだけです。口を開こうとしているのに、うまく開いてくれないんです。何だか自分の顎じゃないようにがくがく動いてしまって、うまく言えません。しっかりと、読みました。中江有里氏 (『週刊新潮』1月3・10日新年特大号)
過去を辿っていくにつれ、最初から明かされている結末が辛い。若くなくなってからの方が恋愛は滋味深く、 忘れがたい。宮下奈都氏 (「5月17日 Twitterより)
今さらながら、山本周五郎賞『平場の月』はほんとうによかった。ささやかな場面がひとつひとつ息をしていて、須藤という主要登場人物が非常に魅力的で、いやだ、いやだ、と思いながら読むんだけど(理由は読んだらわかります)、特に魅力的ではない、悪かったりだめだったりする人物たちにも小さな光があって、みんなそれぞれほのかにいとおしい。もうちょっと生きてみようか、と思わせてくれる小説だった。うまくいえないけれど、読み終えて放心したあとに、もうちょっと生きてみようか、という感情が自然に湧き上がってくるのだ。朝倉かすみさんの文章のうまさには初期の『田村はまだか』で驚愕した人も多いと思う。比喩が素晴らしく軽快で、形容詞の的確さといったらなくて、これがセンスってやつかとしみじみ思った。