京北山の北山杉の里・雲ケ畑で、六歳のかえでは母を知らず、父の岩男、犬のヤマと共に暮らしていた。従兄の萬吉に連れられ、京見峠へ遠出したかえでは、ある人物と運命的な出会いを果たす。京に出たい――芽生えたその思いが、かえでの生き方を変えていく。母のこと、将来のことに悩みながら、道を切り拓いていく少女を待つものとは。光あふれる、爽やかな物語。
京北山の北山杉の里・雲ケ畑で、六歳のかえでは母を知らず、父の岩男、犬のヤマと共に暮らしていた。従兄の萬吉に連れられ、京見峠へ遠出したかえでは、ある人物と運命的な出会いを果たす。京に出たい――芽生えたその思いが、かえでの生き方を変えていく。母のこと、将来のことに悩みながら、道を切り拓いていく少女を待つものとは。光あふれる、爽やかな物語。
京・北山(現在の京都市北区の北端)で、北山杉と呼ばれる高級木材が生産されている。室町時代からすでに存在していたという北山杉は、伐り出して皮をはぎ、砂で磨きをかけて磨丸太として出荷された。江戸の頃より、この磨丸太は特殊な価値を持ち、価格も他の材木の追随を許さなかったという。
北山杉の林では、杉の下枝が切り払われ、まっすぐな幹に、上枝だけが帽子を載せたような格好の木々が育ち、これが何百本も生い茂る風景が見られる。
北山杉の里は、京都市街を流れる鴨川の水源に近く、主人公・かえでの父親の岩男は、北山杉の山仕事と一緒に、鴨川水源の水守の仕事も請け負っている。
「天然出絞丸太」の略。杉の丸太の木肌に、突然変異で自然に、絞ったような凸凹の文様ができたもの。江戸の頃、高級木材として知られる北山杉の丸太の中でも、特に希少で流通量が少なく、最高級の木材であった。茶室や寺社の床柱などに使用され、珍重された。
物語の主要人物の萬吉は、この出絞丸太や、磨丸太などが特産とされる北山杉を育てる山仕事を、幼いころから手伝っている。
舞妓さんや芸妓さんの髪を彩る、色とりどりの飾りかんざしのこと。職人が縮緬や絹などの小さな布を使い、花びらやつぼみの形を作り、四季折々の草花などを形作る伝統工芸で、「つまみ細工」と呼ばれる。
作中には、京の四季のモチーフや草花を元に作られる「花かんざし十二月」が登場し、祇園の花かんざし職人が、季節の装いに合わせた十二か月の飾りを作っている。
【応募方法】
書店にてお買い上げいただいた文庫『出絞と花かんざし』の帯にある応募券を1枚1口でハガキに貼付し、①郵便番号 ②住所 ③氏名 ④年齢 ⑤職業 をお書きのうえ下記までご応募ください。
【宛先】
〒112-8011 東京都文京区音羽1-16-6
光文社文庫編集部 「出絞と花かんざし」プレゼント係
【締め切り】
2021年8月末日(当日消印有効)
1942年北九州市生まれ。闘牛カメラマンとして海外で活躍後、主にノンフィクション作品を発表する。’99年初の時代小説「密命」シリーズを手始めに、次々と時代小説を発表。文庫書下ろし作品のみで累計6500万部突破の快挙を成し遂げる。大好評の「吉原裏同心」「夏目影二郎始末旅」シリーズ(小社刊)の他、2019年に映画化された「居眠り磐音」、「酔いどれ小籐次」「新・酔いどれ小籐次」「交代寄合伊那衆異聞」「古着屋総兵衛影始末」「新・古着屋総兵衛」「鎌倉河岸捕物控」「空也十番勝負 青春篇」「照降町四季」などの各シリーズで幅広い読者層から支持を得ている。
佐伯泰英ウェブサイト
https://www.saeki-bunko.jp/