裏同心澄乃が挑む、危険な賭け――

2023年10月 文庫書下ろし最新刊 吉原裏同心40 蘇れ、吉原を刊行!

幹次郎と汀女、加門麻――三人の物語はまだまだ続きます。

寛政五年十一月、江戸を見舞った大火事の後、 吉原に大勢の客が押し寄せる。その正体を巡り、 会所八代目頭取四郎兵衛と一人二役の裏同心神守幹次郎は苦悩する。 さらに困窮する切見世女郎らを救うため、 幹次郎の密命を帯びた澄乃を、これまでにない危機が襲う! 新たな敵が触手を伸ばす中、吉原を苦境から救い出そうとする廓の人々、 それぞれの祈りが交差する。

蘇れ、吉原 吉原裏同心40

裏同心澄乃が挑む、危険な賭け――。 吉原裏同心40

著者:佐伯泰英

発売:光文社

発売日:2023年10月12日(木)
※一部地域では発売日が異なります

定価:836円(税込み)

ISBN:978-4-334-10071-1

判型:文庫判ソフト

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幹次郎と汀女、加門麻――三人の物語はまだまだ続きます。

決定版 吉原裏同心 佐伯泰英

「吉原裏同心」シリーズ 決定版
刊行予定表

(紙と電子が同日発売となります。)

丁寧な加筆修正!

決定版では、シリーズの第1巻『流離』から『祇園会』まで、大幅な加筆修正を加えます。 ぐっと読みやすくなった裏同心の物語を、読み返すもよし、ここから新たに読み始めるもよし。

ひと月に2巻ずつ!

「新作を楽しみにしているけど、すぐ読み終わってしまう」という声、多いんです。 決定版は月に2冊ずつ刊行なので、たっぷり楽しめます。

毎月刊行!

『流離』から『祇園会』まで、全35冊を毎月休まずに刊行します。 一度読んだ方も、これから読む方も。吉原裏同心シリーズを1巻から一気に読めるチャンスです。

紙と電子、同時発売!

決定版の刊行と同時に、電子書籍の刊行もスタート。電子書籍は、画面上で文字を大きく表示できるので、小さい文字が読みづらい方にもおすすめです。

新しいカバーで!

髙林昭太さんによるカバーデザインは、手触り、箔押しなどにこだわった美しさ。全冊揃えたくなるカバーです。本棚に並べることで、より楽しめる工夫もされているので、ご期待ください。

文字が大きく!

旧判より、文字が大きく、より読みやすくなりました。


さらに、「夏目影二郎始末旅」シリーズの電子書籍も、一挙刊行!

完結した全15巻を、4月に一挙刊行します。
電子書籍のまとめ買いで、作品世界を存分に味わってください。

登場人物紹介
「吉原裏同心」シリーズおもな登場人物 「吉原裏同心」シリーズおもな登場人物
  • 神守幹次郎 豊後岡藩の馬廻り役だったが、幼馴染で納戸頭の妻になった汀女とともに逐電の後、江戸へ。
    汀女の弟の悲劇が縁となり、吉原会所の頭取・七代目四郎兵衛と出会い、剣の腕と人柄を見込まれ、「吉原裏同心」となる。示現流と眼志流居合の遣い手。
  • 汀女 幹次郎の三歳年上の妻女。豊後岡藩の納戸頭・藤村壮五郎との理不尽な結婚に苦しんでいたが、幹次郎とともに逐電、長い流浪の旅の末、吉原へ流れ着く。
    用心棒をする幹次郎の傍らで、吉原の遊女たちの手習いの師匠として読み書きなどを教えている。
  • 薄墨太夫(加門麻) 吉原で人気絶頂、大見世「三浦屋」の花魁。吉原炎上の際に幹次郎に助け出され、その後、幹次郎のことを思い続けている。幹次郎の妻・汀女とは姉妹のように親しい。
  • 四郎兵衛 吉原会所七代目頭取。吉原の奉行ともいうべき存在で、江戸幕府の許しを得た「御免色里」を司っている。幹次郎の剣の腕と人柄を見込んで「吉原裏同心」に抜擢した。娘は玉藻といい、引手茶屋の「山口巴屋」を任せている。
  • 仙右衛門 吉原会所の番方。七代目頭取・四郎兵衛の右腕であると同時に、幹次郎の信頼する友でもある。お芳と夫婦になり、お芳にとって父親のような存在の柴田相庵と一緒に住んでいる。
  • 足田甚吉 豊後岡藩の長屋で幹次郎と一緒に育った幼馴染。豊後岡藩の中間を辞めさせられたあと、料理茶屋「山口巴屋」で働いている。
  • 村崎季光 南町奉行所隠密廻り同心。吉原にある面番所に詰めている。
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地図紹介
「吉原裏同心」地図 「吉原裏同心」地図
  • 「吉原裏同心」の舞台である新吉原は、浅草寺裏側(今の台東区千束あたりの場所)にあった。北東の方角にメインの入り口である大門があり、町は、南西に長方形に延びた形をしている。江戸の中心からは離れた場所にあったため。客たちは徒歩や駕籠で向かうか、粋に大川(隅田川)を舟で上ったりした。
  • 遊廓への出入り口は複数あったが、普段は閉ざされ、メインの大門一か所のみが使われた。周囲は鉄漿溝(おはぐろどぶ)と呼ばれる堀に囲まれている。
    メインストリートである「仲之町」(花魁道中が行われる)の両側に、茶屋が並び立っていた。
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佐伯泰英さんより、読者へのメッセージ

吉原裏同心の第一巻『流離』が刊行されたのは、二〇〇三年三月だ。私の時代小説文庫書下ろしのシリーズのなかで唯一いまも新作が継続されているのは、この「吉原裏同心」だけだ。十八年もの間、この出版不況の折、よくもまあ継続できたものと、筆者は感慨深い。 その間に筆者に迷いがなかったといえば嘘になる。それがあかしに、シリーズ・タイトルを「吉原裏同心」から「吉原裏同心抄」と変え、さらに「新・吉原裏同心抄」と二度も変えている。筆者の断固としたシリーズへの心構えと考えが希薄ゆえ、かような仕儀に相成ったのだ。 読者諸氏、大変申し訳ないことですが、いま一度、筆者の迷いにお付き合い願えませぬか。つまりシリーズ・タイトルをどう変えようと、「吉原裏同心」であることに変わりはないことに気付いたのです。 シリーズ名を変えることは物語の流れは別にして、カバーの挿画・デザインに大きく影響し、素材を写真にしたり、絵にしたりとその都度筆者も出版社も迷い、悩む。 最後の試みとしていま一度シリーズ・タイトルを「吉原裏同心」に戻すならば、今後書き足す新作を含めてカバーに一貫性を優先に持たせようと考えた。そんなわけでカバーデザインの髙林昭太さんには難儀をかけることになったが、第一巻『流離』から第三十六巻の『陰の人』まで通し作品として、ご覧のような統一したデザインが決まった。


流離 吉原裏同心1 決定版

陰の人 吉原裏同心36

ご覧のとおり、シンプルにした大胆な改革です。 本のかおともいえる文庫のカバーは読者に内容を訴える大事な要素であり、挿画とデザインが最優先されてきた。にも拘らず内容をイメージした写真も絵も使わない、巻数をシリーズの「貌」とする試みはどうだろうと、筆者やスタッフの間で結論に達した。そんなわけで、かくいう斬新なるカバーになったのです。読者諸氏も新作『陰の人』の表紙に接して「なんだこれは」と混乱なさるのではないか、筆者は無責任にも愚考する。が、いま一度筆者の変革をお許しください。 この物語が完結する折は、「ああ、佐伯は幾たびも迷い迷いして最後にここに至ったのか」と読者諸氏に得心してもらえるよう、新たなる地平に神守幹次郎を立たせ、活躍させようと思う。 ひるがえって『逃亡』から改題した『流離』執筆の折は、筆者還暦を迎えた前後で、体力もあったし、集中力も記憶力も想像力もあった。一方、ただいま筆者は、数か月後に八十を迎えようとしており、残念ながら「老い」との戦いのなかで、新たなる得物も武器もなく「吉原裏同心」の完結に向かうしかない。 「いざ、サンチョ・パンサよ」
と腹心を鼓舞したいが職人作家に腹心のスタッフなどいるはずもなく、ひたすら薄れた記憶力のかなたから新たなるアイデアを引き出してこようと思う。佐伯泰英の晩年にお付き合いくださる読者諸氏、老残の身をさらして「風車」に立ち向かう時代小説書下ろし作家の生き方をとくとご覧あれ。

二〇二一年九月 熱海にて 佐伯泰英 (『陰の人』あとがき より)

著者略歴

佐伯泰英氏

佐伯泰英 (さえき・やすひで)

1942年北九州市生まれ。闘牛カメラマンとして海外で活躍後、主にノンフィクション作品を発表する。’99年初の時代小説「密命」シリーズを手始めに、次々と時代小説を発表。文庫書下ろし作品のみで累計6500万部突破の快挙を成し遂げる。大好評の「吉原裏同心」「夏目影二郎始末旅」シリーズ(小社刊)の他、2019年に映画化された「居眠り磐音」、「酔いどれ小籐次」「新・酔いどれ小籐次」「交代寄合伊那衆異聞」「古着屋総兵衛影始末」「新・古着屋総兵衛」「鎌倉河岸捕物控」「空也十番勝負 青春篇」「照降町四季」などの各シリーズで幅広い読者層から支持を得ている。

既刊作品一覧

シリーズ・短編作品

竈稲荷の猫

浮世小路の姉妹

出絞と花かんざし

新酒番船

夏目影二郎始末旅